伊吹雅也のPOG分析室～第1回指名馬選びに活かせるデータランキング～｜POGコラム｜ウマニティPOG 2013

伊吹雅也のPOG分析室～第1回指名馬選びに活かせるデータランキング～

　第1回の入札が間近に迫っていますので、早速ではありますが、今回は指名馬選びのヒントになりそうなデータを紹介しましょう。
　私が重視している指標はPOG対象レースにおける調教師、種牡馬、生産者の“1頭あたり本賞金”。入厩先の所属馬、父の産駒、生産牧場の生産馬がコンスタントに活躍している馬を高く評価し、どれかひとつでも不安がある馬は指名を避けています。野球に例えるなら、最初から場外ホームランを狙って大振りするのではなく、「ヒットの延長線上にホームランがある」と考えてまずは打率を重視するスタイルです。
　今回は「現4～6歳」の3世代と「現3歳世代」のそれぞれについて、調教師、種牡馬、生産者ごとの“1頭あたり本賞金”ランキングを作成してみました。「現4～6歳」の集計対象は日本ダービー当日までにJRAで施行された2～3歳限定のレース、「現3歳世代」の集計対象はNHKマイルカップ当日（本年5月5日）までにJRAで施行された2～3歳限定のレース。なお、「現4～6歳」は集計対象となるレースに出走した馬が30頭以上、「現3歳世代」は集計対象となるレースに出走した馬が10頭以上のファクターのみを掲載しています。私が採用しているものとは微妙に異なるものの、初めてこのデータをご覧になる方であればこちらの方がわかりやすいでしょう。年間リーディングやビッグレースでの印象とは異なる部分があると思いますので、ご自身のイメージと比較しながらご覧ください。

　まずは調教師別成績。「現4～6歳」のランキング（表A-1）を見ると、松田博資調教師をはじめとする関西のトップトレーナーが上位を独占しています。関東勢では藤沢和雄厩舎、堀宣行厩舎、国枝栄厩舎あたりが好成績です。
　多少の入れ替わりはありますが、こうした傾向は「現3歳」のランキング（表A-2）でもほぼ同じ。1頭あたり本賞金が非常に高く、「現3歳」に至っては勝ち馬率でも83%と驚異的な数字をマークしている松田博資厩舎はアタマひとつ抜けた存在と言えるでしょう。

　　

　次は種牡馬別成績。「現4～6歳」のランキング（表B-1）を見てもわかる通り、近年はディープインパクト産駒の活躍が目立っています。2位のステイゴールドは1頭あたり賞金で500万円近い差をつけられているうえ、勝ち馬率はディープインパクトの半分程度。一部の産駒がクラシック戦線を沸かせてきたものの、“打率”という意味ではあまり強調できません。
　ロゴタイプ1頭で数字が跳ね上がったローエングリンを除くと、「現3歳」のランキング（表B-2）もディープインパクトがダントツ。キングカメハメハ、ダイワメジャー、ハーツクライあたりが次位グループを形成している点も同じです。一方、前出のステイゴールドや良血馬が集まったことで注目されているゼンノロブロイはいずれも圏外。今期の指名馬選びにおける大きなポイントのひとつだと思います。

　　

　最後に生産者別成績。「現4～6歳」のランキング（表C-1）を見ると、やはりノーザンファームや社台ファームが質・量とも圧倒的です。ただ、ケイアイファームやダーレー・ジャパン・ファームも以前から遜色ないアベレージをマークしている生産牧場。個人的にも、ドラフト下位での指名候補として毎年お世話になってきました。
　また、「現3歳」のランキング（表C-2）で目を引くのが2位のノースヒルズ。「現4～6歳」（当時の名義はノースヒルズマネジメント）のランキングでも優秀な成績を収めていますし、今年は既に重賞を2勝しているキズナを輩出し、日本ダービー制覇に王手をかけています。いわゆる“社台グループ”の生産馬だけでなく、こうした生産牧場にも注目しておきたいところです。

　　

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■執筆者プロフィール
伊吹雅也（いぶき・まさや）
　埼玉県桶川市在住のフリーライター、コピーライター、競馬評論家。的確でわかりやすいデータ分析に定評があり、現在は『JRAホームページ』内「今週の注目レース」で“データ分析”のコーナーを担当しているほか、さまざまなメディアに活躍の場を広げている。競走馬への一口出資やペーパーオーナーゲーム（POG）にも造詣が深く、現4歳世代のPOGでは、参加したすべてのドラフト（いずれも参加者20名以上）においてジェンティルドンナの単独1位指名に成功。現3歳世代も“赤本”こと『POGの達人』（光文社）誌上においてカミノタサハラ、コディーノ、フラムドグロワールらを推奨し、推奨馬の獲得賞金ランキング（皐月賞終了時点）で1位を獲得した。近著に『門外不出！投票データから分かった！ WIN5の鋭い買い方』（東邦出版）、『WIN5（五重勝）ほど儲かる馬券はない!! 少点数で驚愕配当をモノにする絶対的セオリー（競馬王新書）』（白夜書房）。