ホープフルSの「俺のチェックポイント」2日目は、東京サンスポの山口遥暉記者が
ピコチャンブラックに迫った。デビュー前に陣営から精神面の課題を挙げられていたが、その後は成長しているのか。1週前の3頭併せにも注目した。
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世間はクリスマスイブで騒々しいが、そんな気配を全く感じさせない美浦トレセン。〝らしい〟ことといえば、水戸サンタから「山口、あれ聞いといたぞ、あれ。ほら、あれだ」と情報のプレゼントがあったぐらいか。
お目当ては
ピコチャンブラックだ。出世レースのアイビーSで2着に入ったダイヤの原石。黒光りする馬体にすらっとした手脚、真っすぐに伸びた流星は、どこか父
キタサンブラックを思い出させる。デビュー前から陣営の評価が高かった一方で、精神面に言及されていたことが印象深く、多頭数のGⅠを勝ち切るには、気性の成長が必須だろう。上原佑調教師を直撃した。
「普段はおとなしくなりましたよ。デビュー前は幼さ全開でしたが、オンとオフの切り替えができています」
前向きな答えにひと安心だ。18日の追い切り後にハミ(リングビット→トライアビット)を替えたことで操縦性がアップ。この日もリズム良く坂路を上がっていた。
その1週前追い切りで気になっていたことがある。美浦Wコースで3頭併せを行ったのだが、真ん中に入れたのは新馬戦前の7月3日以来だった。狙いについて尋ねると「前走は後ろで我慢できましたが、折り合いが完璧ではなかったので、いろいろなシチュエーションを試しています。先週は実戦を想定してタイトにやりました」と指揮官。ストレスのかかる場面でも脚を伸ばしたところにも、メンタル面の進境を感じ取れた。
舞台は東京から中山へ。福島の新馬戦を7馬身差で逃げ切ったように、末脚の持続力で勝負するタイプとあって、コース替わりはプラスに働きそう。トレーナーも「先行力があるし、舞台設定は問題ありません。距離が延びるのもいいですね」と自信の弁だ。
「反省点が多く満足はしていませんが、厩舎力は上がりました。最後に勝てれば最高ですね」
開業3年目の今年、キャリアハイの26勝をマークする新進気鋭のトレーナーが力強く締めた。大人の階段を上るピコチャンが、世代の頂きに立つかもしれない。(山口遥暉)