気温4度。肌に突き刺さるような底冷えの中、2戦2勝の
マジックサンズが四肢をグイグイと伸ばして駆け抜けた。見届けた須貝調教師は、満足げに口を開いた。
「1週前にしっかりやっているので、無理はしませんでした。それでも引っ張りっきりでこの時計ですからね。仕上がりはいいですよ」
酒井騎手(実戦は佐々木騎手)が騎乗し、栗東CWコースで3頭併せ。余裕十分に直線に向くと内
ショウナンガチ(1勝)、外
リアライズオーラム(2歳1勝)の間へ。スムーズに加速して内に1馬身半、外に1馬身先着した。時計は6ハロン81秒1-12秒0だった。
1週前は併せ馬でビッシリ追われ、7ハロン95秒1─11秒5。6ハロン79秒1は自己ベストと、十分に負荷はかかっている。
札幌2歳S以来、4カ月ぶりの実戦にも「時間をかけてゆっくり調整してきました」とうなずく。調教評価は最高の『S』だ。
その前走は台風の影響で重くなった馬場をものともせず、4コーナーで大外を回ってライバル勢をねじ伏せた。当時、2着の
アルマヴェローチェが
阪神JFに直行して2歳女王となったことを思えばレベルは高かった。
「まだ(重賞で勝ち負けするのは)早いと思っていた中、よく勝ち切ってくれました。能力は高いですよ。センスも高い。(ローカルではなく)中央でどういう競馬ができるかですね」
ここまで2戦は函館、札幌。初の中山、1ハロンの距離延長と課題はあるものの、不安よりも期待が先立つ。厩舎は今年、開業以来最多となる53勝を挙げてリーディング争いの真っただ中。トップの矢作厩舎とは1差で「勝ち星ぐらいは並びたい」と師本人は控えめなものの、22年
朝日杯FS(
ドルチェモア)以来のJRA・GⅠ勝ちを決めて奪首となれば最高だ。
「人事を尽くしましたし、天命を待ちます」
クロワデュノールとの重賞ウイナー対決を制して、世代の頂点に立つ。(北池良輔)