第75回
皐月賞(19日、中山11R、GI、3歳オープン国際(指)、セン馬不可、定量、芝・内2000メートル、1着本賞金9700万円、1~4着馬にダービーの優先出走権=出走15頭)ミルコ・デムーロ(36)=イタリア出身=騎乗の3番人気
ドゥラメンテが、直線で鋭く伸びて牡馬クラシック初戦を制した。タイム1分58秒2(良)。デムーロ騎手はJRA所属としては、初のGI制覇で
皐月賞は単独最多となる4勝目となった。4着までがダービー(5月31日、東京、GI、芝2400メートル)の優先出走権を獲得。1番人気の
サトノクラウンは6着に敗れた。
中山を覆う厚い雲を切り裂くような切れ味に、5万の大観衆が思わず息をのんだ。短い直線を外から一気に駆け抜けていったのは
ドゥラメンテ。その名の通りの“荒々しい”末脚で世代の頂点に立ち、クラシック1冠を手に入れた。
「夢みたい。すごい気持ちいいです!」
ミルコ・デムーロ騎手の声が弾む。3月にJRA騎手となって初めてのGIタイトルは、史上最多の4勝目となる
皐月賞というのも彼らしい。女性のファンから「大好き~♪」の黄色い声援が飛ぶと、「ボクも大好きで~す」と、MAXにテンションが上がった。
スタートして後方からのレースになったが、先行馬が引っ張るよどみない流れ。じっくりと内で脚をため、4コーナーで外に持ち出そうとすると、一気に大外まで斜行してしまう。だが、そこから直線での伸びは他馬が止まっているかのよう。上がり3ハロン33秒9は、2番目に速かった2着の
リアルスティールなどを0秒6も上回り、先頭まで突き抜けた。
「4コーナーだけ困りました。初めての右回りだし、ファンの声にビックリしたみたい。でも、直線はすばらしかった」
4コーナーの斜行で騎乗停止処分は受けたが、あまりの切れ味に直線はミルコが驚いたようだ。
「
ネオユニヴァースに似ている。テンションが高いので難しいけど、そういう馬は大好き。次もがんばります。距離? 大丈夫です…たぶん」
激しい気性だけにダービーの2400メートルに不安をのぞかせたものの、自身の手綱で2冠を制した
ネオユニヴァースも気性の激しかった馬。ミルコなら、という期待は高まる。
堀調教師はクラシック初勝利。関東台頭のシンボル的存在で、ダービー卿CT(
モーリス)、
サンスポ杯阪神牝馬S(
カフェブリリアント)に続く3週連続の重賞VがGIだ。
「たくさんの馬に迷惑をかけてしまったので、今後は矯正していきたいが、坂を上がってからの脚はよかった。クラシックを勝てたのはうれしいです」
次走は「馬の状態を把握してから」というが、もちろんダービーが目標になるはず。世代最強の切れる男
ドゥラメンテ。その荒々しい末脚で、ダービーの東京も一気に突き抜けそうだ。 (柴田章利)
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