今週は2歳王者決定戦の
朝日杯FSが行われる。阪神競馬場が改修工事のため、今年は
阪神JFと同じく同レース史上初めて、京都競馬場で開催。前走の
京王杯2歳Sで重賞初Vを飾った
パンジャタワー(牡)を送り出す、
橋口慎介調教師(49)=栗=を直撃した。1200メートルでデビューしてから1ハロンずつ距離を延ばし、今回は初の1600メートル。克服できるのか? 胸の内に迫った。(聞き手・北池良輔)
──新馬戦Vに続き前走の
京王杯2歳Sで重賞初制覇
「新馬戦前の調教の動きから、本当にすごく期待していた馬。人気はなかった(8番人気)けど、勝てる力はあると思っていました」
──中団待機から馬群の外を通って差し切った内容をどうみる
「時計もあの(稍重)馬場にしては速かった(1分21秒2)し、折り合いもついて、十分に評価できる内容でした」
──入厩した当時の印象は
「牧場で『かなりいい動きをしている』と聞いていました。入厩後も最初からよく動いて、評判通りでしたね。これまで何頭も攻め動く馬はいましたけど、一番のように思います」
──デビュー戦は9月
「ゲート試験に合格した後に一度、放牧に出して休ませました。その期間に成長して、結果的によかったです。ここまで順調に来られているのが、何よりです」
──改めてセールスポイントは
「とにかくスピードがあることですね。シンプルに脚が速いです」
──1200、1400メートルと来て、今回はさらに1ハロン延びて1600メートル
「新馬戦より前走の方が内容がよかったし、距離を延ばしているのが今のところ、いい方に出ています。1400メートルだった前走でも折り合いがしっかりついていましたし、松山騎手も『これなら1600メートルでもいける』と言っていました。1600メートルのGⅠでも、十分にチャンスがあると思います」
──右回りが初めて
「回りは関係ないと思います。(右回りの)調教でも抜群の動きをしますし、すごくバランスのいい馬ですから。今のところ、課題は特に見当たりません」
──1週前は栗東CWコース3頭併せで6ハロン80秒1-11秒8を計時して最先着した
「一番、後ろから馬なりでついていってという指示。思ったような調教ができて、相変わらず動きはよかったです。前回もよかったですけど、今回もすごくいい状態をキープできています」
──厩舎は2018年
グレイスフルリープ(
JBCスプリント)以来のGⅠ制覇が懸かる。
「初めから関わってきた馬で勝てたら、それはまたうれしいですね」
──父・弘次郎元調教師も
ローズキングダムで2009年に
朝日杯FSを制した
「まだまだです。だけど、ちょっとずつでも、偉大な背中に近づけたら。厩舎も年を重ねるごとに、成績もよくなっているので、頑張りたいですね」
■橋口 慎介(はしぐち・しんすけ)1975(昭和50)年3月31日生まれ、49歳。滋賀県出身。父・弘次郎氏はJRAで991勝(うち重賞はGⅠ10勝を含む96勝)を挙げた調教師。99年10月にJRA競馬学校厩務員課程に入学。2000年4月に栗東・池添兼雄厩舎で厩務員、同11月から調教助手。15年に調教師免許を取得し、16年3月に前月に定年引退した父の厩舎を引き継ぐ形で開業。18年に父から引き継いだ
グレイスフルリープで
JBCスプリントを勝ち、GⅠ級初制覇。9日現在、JRA通算2136戦202勝(うち重賞はGⅠ級1勝を含む4勝)。