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【祐一独占手記】史上3人目のダービー連覇「シャフリヤールの力に助けられた」

 日本ダービーが30日、東京競馬場で行われ、4番人気のシャフリヤール(栗東・藤原英昭厩舎、牡3歳)が末脚を伸ばしてハナ差V。3歳馬7398頭の頂点に立った。鞍上の福永祐一騎手(44)=栗東・フリー=は、2018年のワグネリアン、昨年のコントレイルに続くダービー3勝目で史上3人目の連覇を達成。大接戦の激闘を振り返るとともに、厩舎と一丸となってつかんだ勝利について、独占手記を寄せた。

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 デビュー戦で勝った直後から、今年の日本ダービーシャフリヤールとともに挑戦したいと思っていました。この大舞台を目標に牧場、厩舎と一丸となって作り上げてきたパートナーで勝つことができ、ホースマン冥利に尽きる最高の経験をさせてもらいました。

 みんなが素晴らしい走りをした、紙一重の競馬でした。いいスタートが切れて1コーナー手前で取りたい位置が取れましたが、そこからペースが遅くなって内で動くに動けない苦しい状況になり、極限まで脚をためることに専念しました。最後の直線は進路を確保した段階でエフフォーリアサトノレイナスが抜け出していて、つかまえるのは困難だと思いましたが、素晴らしい瞬発力を見せてくれました。

 決してスムーズな騎乗ではなく、シャフリヤールの力に助けられました。GIを勝つ馬に共通する体幹の良さがあって、ばねの塊のような本当に素晴らしい馬。騎乗経験はありませんが、お父さんのディープインパクトに近いんじゃないかなと思います。

 また、藤原英昭厩舎とのタッグで勝てたことも最高にうれしかったです。師匠の北橋修二先生、主戦起用してもらっていた瀬戸口勉先生が続けて定年で引退された2007年。新たな拠点となったのが藤原英厩舎でした。馬術経験豊富な技術集団で、調教の乗り方などを一から教えてもらいました。一頭一頭に明確なビジョンを描いて、競走馬として作り上げていく面白さ、難しさも学んできました。

 その中でダービーには心に刻まれている思い出があります。藤原英厩舎所属で10年に優勝したエイシンフラッシュは、デビュー戦では手綱を取っていましたが、本番で指名されたのは自分ではありませんでした。当時は厩舎の一番馬を勝たせるだけの技術が身についていませんでしたし、もっと精進していつかは…と感じました。

 ワグネリアンで初めて優勝した18年では、引き揚げてきた検量室で真っ先に祝福してくれたのが藤原英先生と同厩舎の荻野助手でした。自厩舎の皐月賞エポカドーロは2着に敗れたのに、まるで勝利した陣営のように出迎えてくれました。なかなかできないことで素晴らしい人間性だと思います。そのときに、いつか必ず一緒にダービーを勝ちたいと強く思いました。

 そして、今年は先生にとって特別な思いがあるダービーで初めて騎乗依頼をもらいました。最高の状態に仕上がっていて、冷や冷やさせながらも勝つことができて本当に良かったです。ダービー連覇で通算3勝目。あれだけ切望していたものが立て続けに手に入るとは思ってもいませんでしたが、ワグネリアンで得た自信、コントレイルで出した結果が、自分の経験則となって力になっています。これからも縁あって巡り合ったパートナーが素晴らしい馬生を送れるように、騎手として全力を尽くしていきます。(JRA騎手)



福永祐一(ふくなが・ゆういち) 1976(昭和51)年12月9日生まれ、44歳。滋賀県出身。栗東・北橋厩舎所属で96年3月にデビュー。同年53勝で最多勝利新人騎手に輝き、2011、13年にJRAリーディング獲得。30日現在、JRA通算2448勝。重賞はGI30勝を含む152勝。160センチ、52キロ。週末の競馬開催日に本紙でコラム「新ユーイチが行く」を連載中。

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★第88回日本ダービーVTR…予想通り大外枠からバスラットレオンが逃げ、前半1000メートルを60秒3で通過した。向こう正面でシャフリヤールエフフォーリアのななめ後ろにつける7番手。外の馬が早めに動き出したため位置取りは下がったが、4コーナー手前ではエフフォーリアの横に並びかけた。直線で内から抜け出したエフフォーリアに対し、シャフリヤールは外へ。進路の確保に苦労する場面もあったが、前があいてからはジワジワと差を詰め、内からエフフォーリアに並んだところがゴール。約10センチ差でシャフリヤールが栄光を手にした。

【福永騎手・ダービーアラカルト】●ダービー3勝目…ダービー3勝は、武豊騎手の5勝に次ぐ歴代単独2位の記録。●JRA・GI…2日の天皇賞・春ワールドプレミア)以来、今年2勝目で通算30勝目。JRA重賞は、前週の平安Sオーヴェルニュ)に続く今年5勝目で通算152勝目。●乗り替わりV…シャフリヤールは前走の毎日杯川田将雅騎手が騎乗。前走から乗り替わりでのダービー制覇は1985年シリウスシンボリ(岡部幸雄→加藤和宏)以来36年ぶり。
2021年5月31日(月) 05:00
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2019 - 2020

中(ナカ)さん

昨年の主な活躍馬:
ラウダシオン

獲得賞金:72,558万円

JRA競走馬総賞金ランキング
3歳
01位ジャンタルマンタル牡3
13,291万円
02位アスコリピチェーノ牝3
10,494万円
03位コラソンビート牝3
9,942万円
04位シンエンペラー牡3
9,128万円
05位レガレイラ牝3
8,278万円
06位エトヴプレ牝3
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07位シックスペンス牡3
7,287万円
08位スウィープフィート牝3
7,286万円
09位コスモキュランダ牡3
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