GI企画『東西現場記者走る』で栗東トレセンでの密着取材を続ける東京サンスポの板津雄志記者(38)は、連載4日目にして“隠し玉”を投入。1勝馬の超伏兵ライトオンキューをピックアップした。未勝利戦を勝ったばかりとはいえ、レースセンスは非凡。混戦での強さはGIでこそ魅力だ。
宿舎を出たら、空も地面も見事なほどに真っ白。まさか今シーズン初めての雪を連載中に見ることになるとは…。調教では走りづらそうな馬もいて、大変そうだった。
ちなみに関西地方は土曜に傘マーク。もし前日に雨が降るなら、タフな馬場になる可能性もある。パワーを秘めた外国血統の出番かもしれない。そこで、ちょっと面白そうな馬がいた。ライトオンキューだ。
「最初は段階を踏んで…と考えていたけど、あの勝ち方をみてGIに挑戦したくなったんだ」
1勝馬とはいえ、昆調教師の力説には共感した。前走の未勝利戦はクビ差の辛勝では片付けられない勝ちっぷりだ。
好スタートから一度、最後方まで下げ、勝負どころを迎えると馬群の中をするすると進出。直線では2度進路を切り替えるシーンがありながら、馬場の荒れたインから力強く伸びた。内、外回りの違いこそあれ、重馬場で1分36秒7の勝ちタイムは良馬場の前週、デイリー杯2歳S(1分36秒3)と大差はなかった。
「環境の変化に動じないし、馬混みも怖がらない。精神面の強さ、混戦での強さは外国馬のよう。勝負根性と抜群の操作性は、多頭数のGIでこそ生きると思う」
ライトオンキューの父シャマーダルは欧州の2歳王者で、その後、仏2000ギニー、仏ダービーなどもV。芝では6戦6勝と勝負強さを誇っただけに、昆師のいう“外国馬らしい強さ”もうなずける。
手綱を取る四位騎手にも直撃すると「初戦(3着)は体つきがコロンとしていたけど、使うごとにシャープになっている」と良化具合を強調した。もともと、体が思うように絞れず入厩からデビューまで3カ月もかかった馬。新馬戦も明らかに余裕のある体つきだったが、2戦してさらに動ける態勢になっている。
「GIだから甘くはない。でも楽しみもある。現状はテンは馬なりでいって、しまいを伸ばす形がいいかな。まあ、阪神のマイルは後ろからでも来る馬は来るから」
昨年、6番人気のサトノアレスであっと言わせたベテランの言葉がぐっときた。 (板津雄志)
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