3歳世代7522頭の頂点を決める
日本ダービーが29日、東京競馬場で行われ、3番人気の
ドウデュース(栗・友道、牡)が後方から抜群の切れ味を発揮して
皐月賞3着の雪辱を果たした。タイム2分21秒9(良)はダービーレコード。秋には登録している
凱旋門賞(10月2日、パリロンシャン、GⅠ、芝2400メートル)に挑戦する。2着は2番人気の
イクイノックス。1番人気
ダノンベルーガは4着、
皐月賞馬
ジオグリフは7着だった。
◇
憧れであり、最高の友人でもある
武豊騎手とつかんだダービーのタイトル。松島正昭オーナー(64)=(株)マツシマHD取締役会長、馬主名義はキーファーズ=の胸には万感の思いが込み上げてきた。
「すごかった。何というか、こんなことがあるのかっていう思い。びっくりです。素晴らしいドラマでした。ダービーを勝つのが、こんな素晴らしいとは。明日からが、どんなに楽しいか…」
ユタカのために馬主になったオーナーにとっては、すべてを信頼した騎乗だった。「直線の真ん中ぐらいで、勝ったと思った。(
武豊の手綱さばきを)大好きですから。大ファンですから。もう信じ切っていました」。興奮で顔を紅潮させた松島氏と
武豊騎手には固い絆があった。共通の友人を通して「是非に」と紹介してもらったが、オーナーの馬券の負けっぷりに心を痛めた
武豊騎手が、「それなら馬主になられたら」と進言。「分かった」と即決した経緯がある。それから20年来の友人だ。
その友の最大の夢は、日本人騎手として初の
凱旋門賞制覇。「私がその夢をかなえさせよう」。そう心に誓っただけに、こんな好機を逃すわけはない。すでに
凱旋門賞は登録済み。
「行きます! やっと(
凱旋門賞の)スタートラインに立てましたし、(
武豊騎手とは)どこにでも行きます。ええ、絶対に行きます‼」
日本競馬の夢を乗せ、2人の夢の実現へ。この二人三脚からは目が離せない。(水戸正晴)
■
ドウデュース 父
ハーツクライ、母ダストアンドダイヤモンズ、母の父ヴィンディケイション。鹿毛の牡3歳。栗東・
友道康夫厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は㈱キーファーズ。戦績6戦4勝。獲得賞金3億8595万1000円。重賞は2021年GI
朝日杯FSに次いで2勝目。
日本ダービーは
友道康夫調教師が2016年
マカヒキ、18年
ワグネリアンに次いで3勝目。
武豊騎手は1998年
スペシャルウィーク、99年
アドマイヤベガ、2002年
タニノギムレット、05年
ディープインパクト、13年
キズナに次いで6勝目。馬名は「する+テニス用語(勝利目前の意味)」。
■日本ダービーアラカルト
◆
友道康夫調教師 2018年(
ワグネリアン)以来の3勝目で現役最多。JRA・GⅠは
大阪杯(
ポタジェ)に続く今年2勝目で通算16勝目。JRA重賞も
大阪杯以来の今年3勝目で通算54勝目。
◆
ハーツクライ産駒 14年(
ワンアンドオンリー)以来の2勝目。JRA・GⅠは昨年の
朝日杯FS(
ドウデュース)以来で通算14勝目。JRA重賞は
サンスポ杯阪神牝馬S(
メイショウミモザ)に続く今年6勝目で通算77勝目。
◆馬主:(株)キーファーズ(松島正昭氏名義含む※外国馬を除く) 2頭目の出走で初勝利。前回は20年(
マイラプソディ)の9着。JRA・GⅠは昨年の
朝日杯FS(
ドウデュース)以来の通算2勝目。JRA重賞も昨年の
朝日杯FS以来の通算3勝目。
◆生産牧場:ノーザンファーム 昨年(
シャフリヤール)に続く通算11勝目。JRA・GⅠは
ヴィクトリアマイル(
ソダシ)に続く今年4勝目で通算177勝目(他にJ・GⅠを3勝)。JRA重賞も
ヴィクトリアマイルに続く今年17勝目で通算738勝目。
◆レースレコード 勝ちタイム2分21秒9は昨年(
シャフリヤール)の2分22秒5を0秒6更新するレースレコード。
◆
皐月賞3着馬の勝利 12年(
ディープブリランテ)以来の通算11勝目。
◆最優秀2歳牡馬の勝利 20年(
コントレイル)以来の通算8勝目。
■売り上げ
日本ダービーの売り上げは291億4509万700円で前年比116・2%とアップ。