夏のローカル開催も残り2週となり、新潟では日曜メインに
新潟2歳S(26日、GIII、芝1600メートル)が行われる。新潟外回りコースの長い直線を舞台に、例年、激しい追い比べが繰り広げられる若駒同士の争いは、2015年
ロードクエスト(東京で新馬V)、16年ウゼットジョリー、17年
フロンティア(ともに中京で新馬V)と近年、他場で勝ち上がった各馬が転戦してタイトルを奪取するケースが続いている。今年も“一戦必勝”の構えで乗り込む新鋭に注目したい。
ヴィクトワールピサ産駒の
アンブロークン(美浦・
手塚貴久厩舎、牡)は6月24日の東京芝1800メートルで新馬勝ち。4角先頭から他馬が来るのを待って追い出し、余裕を持って封じ込めたレースぶりは、着差(半馬身)以上の強さだった。鞍上の
石川裕紀人騎手が、デビュー前の追い切りに騎乗した時点で素質の高さを絶賛していた逸材。前走後、すぐにこのレースを目標に定めていたこともあり、中間の調整も順調そのもので、マイルへの距離短縮も折り合い面でプラスに働きそうだ。
ジョディー(美浦・
戸田博文厩舎、牝)は昨年の覇者
フロンティアと同じ
ダイワメジャー産駒。今年の2歳新馬戦が開幕した6月2日、東京の芝1600メートル(牝馬限定)を鮮やかに逃げ切った。2馬身差をつけた2着
ウインゼノビアが2戦目で勝ち、19日に札幌で行われたオープンのクローバー賞(芝1500メートル)も楽勝。その点からも評価が高まっている。今回は牡馬相手だが、近3年は牝馬が1頭ずつ連対を果たしており、臆するところはない。
新種牡馬
ジャスタウェイ産駒の
エイシンゾーン(栗東・
松元茂樹厩舎、牝)は7月1日に中京の芝1600メートル(牝馬限定)でデビューVを飾り、同じ舞台の中京2歳Sでは
アドマイヤマーズの3馬身差2着。各馬キャリアの浅い段階だけに、実戦を2度経験しているアドバンテージは大きく、今回も同じ左回りの1マイルなら経験値の高さをストレートに発揮できるはずだ。前走から中4週のローテーションも無理はなく、デビュー戦(426キロ)から前走(428キロ)で馬体重がわずかでも増えていたのも明るい材料といえるだろう。
ルーラーシップ産駒の
エルモンストロ(栗東・
中竹和也厩舎、牡)は
エイシンゾーン同様、中京の芝1600メートルで7月15日に新馬勝ち。タイム1分34秒9はエイシンの中京2歳Sのタイム1分35秒2を上回っている。新潟・芝コースは相変わらず良好なコンディションが続いているだけに、そのスピードは魅力。デビュー2戦目で体調面の上積みも見込めるだけに、好勝負に持ち込む可能性は十分だ。
新潟で勝ち上がった馬のなかでは何といっても
ロードカナロア産駒の
ケイデンスコール(栗東・
安田隆行厩舎、牡)に注目が集まる。6月30日の中京芝1600メートルのデビュー戦こそ、続く中京2歳Sを圧勝する
アドマイヤマーズにハナ差屈したが、7月29日の新潟芝1600メートルの未勝利戦は1分34秒3の好タイムで直線、大外から鮮やかに差し切り勝ちを決めた。追われて確実に伸びる安定感のある末脚は、これまでデビューした2歳馬の中でも上位のものがあり、前走と同じ舞台なら当然、主力の一頭になる。今回は新潟リーディングトップと好調な
石橋脩騎手とのコンビだけに注目したい。
同じ
ロードカナロア産駒の
ロードアクア(栗東・
浅見秀一厩舎、牡)は6月17日に東京芝1400メートルで新馬勝ち。スローペースで逃げ込みを図った2着
アマデウスをきっちり捕らえたレースぶりは、父譲りのセンスと勝負強さを感じさせた。1ハロンの距離延長を克服できれば、再びその持ち味を発揮するはずだ。
エイカイキャロル(栗東・
藤原英昭厩舎、牝)も
ロードカナロア産駒。7月29日に新潟芝1600メートルで牡馬相手に好位から抜け出したが、そのバテない末脚は目を引いた。デビュー戦の勝ちタイム(1分37秒0)から時計を大幅に短縮する必要はあるものの、相手なりに走れそうなそのしぶとさには注意を払いたい。
ゴールドヘイロー産駒の
スティルネス(美浦・
小島茂之厩舎、牝)は15年の覇者
ロードクエスト(父
マツリダゴッホ)の半妹。7月8日に福島芝1200メートル(牝馬限定)でデビュー戦を勝利で飾ったが、じっくり構えて余力十分に抜け出したレースぶりは、むしろマイルくらいの距離が合いそうな印象を残した。豪快な追い込みで圧勝した兄同様、鋭い末脚は脅威だ。
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