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伊吹雅也のPOG分析室 (2018) ~第1回 POG的データ分析~
日本ダービーの施行日である今週末5月27日(日)をもって「ウマニティPOG 2017」が終了。一年間に渡って繰り広げられてきた激戦がいよいよ決着します。最終順位は来週5月30日(水)に公開を予定している「伊吹雅也のPOG分析室」第2回でもお伝えする予定です。
来週からは通算6シーズン目となる「ウマニティPOG 2018」が本格始動。5月29日(火)12:00から第1回の入札がスタートし、6月1日(金)には最初の仮想オーナー馬が確定するわけですから、そろそろ戦略を固めておかなければなりません。昨シーズンと同じく、第1回の本稿では指名馬の選択や絞り込みに活用できる各種のデータをまとめてみました。
以下の表組で紹介しているのは、現3~5歳の過去3世代における主要な種牡馬、生産者、調教師の勝ち馬率や1頭あたり本賞金です。なお、POG期間全体を対象にすると一部の活躍馬が1頭あたり本賞金を大きく左右してしまうため、集計対象は「JRA、かつ2~3歳歳限定、かつ新馬が行われている週(例年の2回中山ならびに1回阪神閉幕週)までのレースのみ」としています。今回は集計対象レースに出走した馬の頭数が60頭以上だった種牡馬、生産者、調教師のうち、1頭あたり本賞金のベスト20を表にまとめました。
まずは種牡馬別成績(表A)をご覧いただきましょう。
毎年同じことを言っていますが、このカテゴリーにおいてはディープインパクトが突出した存在。勝ち馬率、1頭あたり本賞金とも2番手グループとはかなりの差があります。もちろん、その分だけ注目度も高いのですが、“人気の盲点”になる産駒は今年も必ずいるはず。そもそも数が多いうえ、いわゆる“POG本”などの媒体もディープインパクト産駒ばかり紹介するわけにはいきませんからね。良質な繁殖牝馬が集中し過ぎている分、もはや他の種牡馬より“人気の盲点”が発生しやすい状況なのです。
エポカドーロとラッキーライラックがG1制覇を果たしたオルフェーヴル、アーモンドアイが桜花賞とオークスを圧勝したロードカナロアも、それぞれ初年度産駒だけでベスト20圏内に浮上。どちらも今年はそれなりの注目を集めそうですが、勝ち馬率や1頭あたり賞金には大きな開きがありました。父のステイゴールドがそうだったように、オルフェーヴルは期待外れに終わる産駒の数も多いタイプ。一方、ロードカナロアは勝ち馬率や1頭あたり賞金がハーツクライらを上回るほどの高水準ですから、安心して指名できるタイプと見ていいでしょう。
他に強調しておきたいのはダイワメジャー。新種牡馬勢の活躍もあってやや影が薄くなったものの、勝ち馬率や1頭あたり賞金は現3歳世代もそれほど落ち込んでおらず、狙い頃のタイミングかもしれません。
続いて生産者別成績(表B)をご覧ください。
こちらもノーザンファームの“一強”状態。他の有名ブリーダーはもちろん、いわゆる“社台グループ”勢同士の比較でも頭ひとつ抜けています。グランド牧場やフジワラフアームあたりも面白い存在ですが、ノーザンファームがこれだけ突出した存在であることは認識しておくべきでしょう。
強いて対抗格を挙げるならば、ダノンプレミアムらを生産したケイアイファーム。集計期間中の出走頭数(48頭)が少ないためランキングからは除外したものの、勝ち馬率は42%、1頭あたり賞金は960万円に達していました。今年はダノンプレミアムの影響でそれなりに注目されてしまうかもしれませんが、引き続きマークしておきたいところです。
最後に(JRA初出走時の)調教師別成績(表C)を紹介しておきます。
集計期間中の出走頭数が60頭未満だったトレーナーの中では、藤沢和雄調教師(勝ち馬率59%/1頭あたり賞金1434万円)、友道康夫調教師(勝ち馬率55%/1頭あたり賞金1165万円)、堀宣行調教師(勝ち馬率61%/1頭あたり賞金854万円)あたりも優秀な成績をマーク。トップクラスとそれ以外の差が大きいファクターなので、しっかりチェックしておきましょう。
なお、近年は池添学調教師、木村哲也調教師、高野友和調教師、武井亮調教師、中内田充正調教師といった若手トレーナーの活躍も目立ってきました。このあたりはまだ実力に人気が追い付いていない印象ですから、私も上手く指名候補に組み込んでいければと考えています。
■執筆者プロフィール
伊吹 雅也(いぶき・まさや)
埼玉県桶川市在住のフリーライター、競馬評論家。JRAホームページ内『今週の注目レース』で「データ分析」のコーナーを、TCKホームページ内『データ&コラム』で「分析レポート」を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラムなどさまざまなメディアを舞台に活動している。近著に『コース別 本当に儲かる騎手大全 2017秋~2018』(ガイドワークス)など。POG関連メディアの制作にもさまざまな形で携わっており、ウマニティPOG 2014では最高位クラスのスペシャルワールドにおいて優勝を果たした。