皐月賞2着馬が、逆転へ向け抜群の仕上がりだ。あと4日に迫った競馬の祭典「第82回
日本ダービー」(31日、東京、GI、芝2400メートル)に挑む
リアルスティールが27日朝、真夏を思わせる陽気の栗東トレーニングセンター(滋賀県)で豪快に動いた。調教チェッカーズも文句なし“A”の4馬身先着。悲願のVに向けて、
福永祐一騎手(38)の自信も高まった。
やはり、この馬が西のエースだ。
皐月賞銀メダルの
リアルスティールが、栗東坂路で極上の切れ味を発揮した。
福永騎手を背に、
トニーポケットを2馬身追いかける流れ。スローペースも十分考えられる東京の2400メートルを意識したのか、前半のペースはいつもよりゆったりしたものだったが、リラックスしたフォームで気負うことなく駆け上がる。
真骨頂はここからだ。ラスト1F手前、ユーイチが微妙なアクションでGO
サインを出すと、反応がケタ違い。あっという間に一杯に追われたトニーを捕らえると、最後は脚力の違いが露骨に形に出て、馬なりのまま4馬身先着した。
「1週前に負荷をかけて、当週は馬なりといういつものパターン。体の切れが良かったし、前走より動ける体になっている。タイムも動きも文句なし。本当に予定どおりにうまくいった」
ユーイチが百点満点のジャッジで仕上がりを讃える。
皐月賞前はフィジカルな強さを4F52秒1のタイムで見せつけていたが、ダービー仕様の今回はよりメリハリが強調された、洗練された“A”スパーだ。
デビュー前の追い切りに跨った時点でダービーを意識し、「GIを狙えると思った馬で、実際に有力馬として出られるのはそうはないこと。そういう意味では自分の期待以上」とそれが実際のものとなり、最強のチャレンジャーとして
皐月賞馬
ドゥラメンテに挑める。
「前走は枠順も良く、スムーズに運べて脚もたまったけど、1頭強い馬がいた。馬体が並んでいたとしても、結果は一緒だったと思う。それくらい(決め手は)すごかった」と
ドゥラメンテの強さを振り返りながらも、「中山2000メートルで勝てる競馬をした結果。一瞬フッとやめるところはあったけど、本当に抜け出してやめていたら、あの時計(芝2000メートル1分58秒4)では走れない。競馬はだいぶ違ってくるけど、東京の2400メートルなら難しく考えることはない。いい結果を出すだけだ」と力を込める。
「こういうチャンスが続くわけがないことは自覚している」16度目のダービー挑戦で、天才と謳われた父・洋一騎手も手の届かなかった(78年カンパーリの3着が最高)栄冠をつかめるか。デビュー2戦目の
共同通信杯で
ドゥラメンテを破り優勝した実績からすれば、逆転してまったく不思議ない。ユーイチは勝つつもりだし、
リアルスティールも応えられるだけのデキに仕上がっている。
■矢作師に聞く
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皐月賞は直線でいったん抜け出す2着
矢作芳人調教師「ウチの馬はいいレースをしたと思う。勝った馬(
ドゥラメンテ)が強すぎました」
--中間は順調な調整過程をたどり、けさは坂路で4F54秒6
「(併せた)先導役もうまくリードしてくれて、非常に満足できる追い切りになった。ギリギリまで仕上げないと勝てないレースだけど、99・9ならいいけど、100を越えちゃうとダメというところで、本当にうまく調教できた」
--ダービーに向けての作戦は
「何もありません。鞍上(福永騎手)に任せるだけです」
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皐月賞の前は久々に緊張していると言っていた
「今回は挑戦者だし、気楽に楽しんでますよ。ここを勝つためにやってきたし、あとは天命を待つ気持ち。みなさん、ぜひ応援してください」
(夕刊
フジ)
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