POGコラム

伊吹雅也のPOG分析室 (2023) ~第1回 POG的データ分析~

 1年間に渡って争われてきた前シーズン「ウマニティPOG 2022」もいよいよラストウィークに突入。今週末5月28日のダービーデイ終了とともに各ワールドのチャンピオンが確定します。例年と同じく「伊吹雅也のPOG分析室」第2回で最終結果の解説を行う予定です。

 来週からは通算11シーズン目となる「ウマニティPOG 2023」がスタート。既に「カラーパドック」「プロの指名馬リスト」などの公開が始まっていますし、皆さんの指名候補選びも佳境を迎えているところでしょう。

 例年通り、第1回の本稿では、指名候補の絞り込みに役立ちそうなデータをご紹介します。いわゆる「POG本」や2歳新馬の想定と見比べるだけでもさまざまな発見があると思いますので、ぜひご活用ください。
 以下の表組で紹介しているのは、現3~5歳の過去3世代における主要な種牡馬・生産者・調教師の勝ち馬率ならびに1頭あたり賞金です。今年も集計対象は「JRA、かつ2歳・3歳、かつ例年の2回中山・1回阪神閉幕週までのレース」のみ、調教師別成績の集計区分は各馬のJRA初出走時における調教師としました。

 まずは種牡馬別成績(表A)をご覧いただきましょう。


 現2歳世代に直仔がいないディープインパクトらを除く、集計対象レースにおける勝馬頭数が12頭以上だった種牡馬に限ると、1頭あたり賞金のトップはデクラレーションオブウォー。現3歳世代の種付けシーズンから国内供用になったばかりですが、タマモブラックタイが2023年のファルコンステークスを勝ったほか、トップナイフが2022年のホープフルステークスで2着に、サトノヴィレが2023年のクロッカスステークスで2着に食い込むなど、上々の滑り出しを見せています。勝ち馬率はやや低かったものの、引き続きマークしておいた方が良いかもしれません。
 勝ち馬率と1頭あたり賞金のバランスを考えると、キズナキタサンブラックハーツクライ・ヘニーヒューズあたりも高く評価して良さそう。ただ、キングカメハメハディープインパクトの直仔がたくさんいた数年前に比べると、狙うべき種牡馬を絞り込みにくくなった印象です。
 気掛かりなのはロードカナロア。昨年も同様の指摘をした通り、POG期間の序盤~中盤における成績は低迷気味でした。2022年のJRAリーディングサイアーランキング(賞金順)でも2位をキープしていて、今後もそれなりに注目が集まると思いますから、扱いに注意するべきでしょう。

 続いて、生産者別成績(表B)をご覧いただこうと思います。


 集計対象レースにおける勝馬頭数が12頭以上だった生産者に限ると、1頭あたり賞金のトップはノーザンファーム。勝ち馬率も頭ひとつ抜けた存在です。私が毎年言っているように、指名候補選びは「まずノーザンファーム生産馬を徹底的にチェックする」「余裕があれば他のブリーダーにも目を向けてみる」くらいの方針で臨んだ方が良いのかもしれません。
 2番手グループを形成しているブリーダーのうち、出走頭数が比較的多いのは下河辺牧場・ノースヒルズあたり。下河辺牧場生産馬のドルチェモアが2022年の朝日杯フューチュリティステークスを、ノースヒルズ生産馬のエミューが2023年のフラワーカップを制すなど、現3歳世代の該当馬もまずまず健闘していました。余裕があればこちらもマークしておきましょう。

 最後にご覧いただくのは、調教師別成績(表C)です。


 集計対象レースにおける勝馬頭数が12頭以上だった調教師に限ると、1頭あたり賞金のトップは須貝尚介調教師。勝ち馬率の高さを加味すると、木村哲也調教師・友道康夫調教師・中内田充正調教師あたりも同等以上に高く評価して良いのではないかと思います。
 余談ながら、集計対象レースにおける勝利数がもっとも多かったのは矢作芳人調教師(52勝)。勝ち馬率や1頭あたり賞金の数字はやや地味ですが、これは出走頭数が極端に多いからなので、評価を下げる必要はありません。
 種牡馬での絞り込みが以前より難しくなっている分、新たな勢力図が固まるまでは、これまで以上に調教師を重視した方が良いのかも。池添学調教師・斉藤崇史調教師・武幸四郎調教師・西村真幸調教師といった若手有望株も含め、管理予定馬の動向を注視しておきましょう。
 
 
■執筆者プロフィール
伊吹 雅也(いぶき・まさや)

 埼玉県桶川市在住のフリーライター、競馬評論家。JRAホームページ内『今週の注目レース』において「データ分析」のコーナーを担当しているほか、JRAのレーシングプログラム、TCKホームページ、グリーンチャンネル、ニコニコチャンネルなどさまざまなメディアを舞台に活動している。近著に『ウルトラ回収率 2023-2024』(ガイドワークス)、『WIN5攻略全書 回収率150%超! "ミスターWIN5"のマインドセット』(ガイドワークス)など。2023年03月28日には最新刊『血統&ジョッキー偏差値2023-2024 ~儲かる種牡馬・騎手ランキング~』(ガイドワークス)をリリース。

執筆者:伊吹雅也 2023年5月24日(水) 12:00
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2022 - 2023

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昨年の主な活躍馬:
タスティエーラ

獲得賞金:116,643万円

JRA競走馬総賞金ランキング
3歳
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