未完の大器
ダノンザタイガーが、春の兆しが見える美浦Wコースをさっそうと駆け抜けた。
サトノエルドール(OP)を3馬身ほど追走してスタート。直線入り口で並びかけると、馬なりのままラスト1ハロン12秒1(5ハロン68秒4)で併入した。終始軽快なフットワークを披露し、仕上がりは良好だ。
「良かったですよ。先週、川田騎手が乗ってしっかりやったので(体は)できているし、今週は予定通り。中間はいい感じで、体に実が入ってきているし、メンタルもいい」
見届けた国枝調教師は期待の素質馬の成長を実感する。前走後は放牧を挟んで成長を促し、先月中旬に帰厩。順調に乗り込みを重ねてきた。「前回はまだ落ち着かないところがあったけど、馬が分かってきたようで落ち着いていているし、余裕がある」と着実にステップアップしてきている。
前走の
東京スポーツ杯2歳Sでは、内をうまく立ち回った勝ち馬にクビ差届かなかった。それでも直線で外から見せた猛烈な伸び脚からは非凡な才能を感じさせた。「だんだんとだけど、心身ともに成長している。前走は負けてしまったけど、一戦ごとに良くなっている」とトレーナーは決して悲観していない。
「このあとは
皐月賞に行くと思うけど、やはり(日本)ダービーを、というのがあるからね。このメンバーでいい競馬をしてほしい」
2020年のセレクトセール当歳で2億7000万円(税抜き)の高額で落札され、早くからクラシックの主役候補といわれてきた逸材が目指すのは、トレーナー悲願のダービー制覇。距離は違えど、最大目標と同じ府中でまずは重賞初勝利を狙う。(三浦凪沙)