12月19日(水)に川崎競馬場で、注目の2歳ダートチャンピオン決定戦・第69回全日本2歳優駿(交流GI、2歳オープン、定量、ダート・左1600メートル)が行われる。
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ガルヴィハーラが“黄金ローテ”で栄冠を目指す
例年以上にハイレベルなメンバーが揃った印象だが、まず一番手に取り上げたいのは、デビュー3連勝での栄冠を目指す
ガルヴィハーラ(牡、美浦・
萩原清厩舎)。厩舎の先輩で昨年のこのレースを圧勝している
ルヴァンスレーヴと同じ、新馬戦→プラタナス賞→全日本2歳優駿という“黄金ローテ”で大一番に挑む。
萩原師が「相手関係がカギになるが、いいレースを期待したい」と語っているように、これまでとはひと味違うメンバーを相手に通用するかがキーポイントとなるが、ライバルになりそうな
メイクハッピーや
デルマルーヴルにも騎乗している
C.ルメール騎手と引き続きコンビを組むのは心強い限りだ。
★兵庫ジュニアGPを圧勝しているデルマルーヴル
デビュー戦こそ4着止まりだったものの、2戦目以降は危なげない走りで3連勝。交流重賞初挑戦となった前走の兵庫ジュニアグランプリ(交流GII)でも、2着以下に4馬身差をつけて力の違いを見せている
デルマルーヴル(牡、美浦・
戸田博文厩舎)も有力馬の一頭。
中山→東京→園田競馬場と、異なる舞台で結果を出しているだけに、初参戦となる川崎のコースも苦にすることはなさそう。初勝利は1800m戦で挙げているだけに、前走からの1ハロン距離延長も問題ないだろう。
唯一の課題は不安定なスタートだが、五分に出れば上位争いに加わることは必至。プライドキム(04年)やラブミーチャン(09年)など、過去には兵庫ジュニアグランプリからの連勝でこのレースを制した馬もいるだけに、ローテーションを気にする必要もなさそうだ。
★紅一点の
メイクハッピーが牡馬を一蹴するか
2着以下に10馬身差をつける大楽勝でデビュー勝ちを果たすと、続くカトレア賞も2馬身半差の完勝。牝馬とは思えぬ力強いパフォーマンスで連勝している
メイクハッピー(牝、美浦・
新開幸一厩舎)が、“紅一点”の参戦で初タイトルを狙う。
東京コースでの2連勝だけに、小回りの川崎コースへの対応がカギになる。相手もデビュー2連勝とはケタ違いに強化されるが、新開師は「いいメンバーが揃ったけど、能力的には上だと思っている」と語るように、不安よりも期待の方が大きい様子。
初コンビを組むC.デムーロ騎手の川崎競馬参戦は2014年エンプレス杯(ワイルドフラッパー・1着)以来となるが、同騎手の初来日は南関競馬の短期免許を取得してのものだった。多少のブランクはあっても、川崎競馬での騎乗経験という点では心配無用だ。
★小回りコース克服なら
ノーヴァレンダも通用する
新馬戦こそ残念ながら競走中止となってしまったものの、その後は未勝利戦→もちの木賞と連勝してきた
ノーヴァレンダ(牡、栗東・
斉藤崇史厩舎)も、能力的には通用していい存在だ。
GI初制覇がかかる斉藤崇師も「リフレッシュ放牧から帰厩後も変わりなく順調。前2走はポテンシャルの高さを見せてくれた。マイルは問題ない。地方のきついカーブをうまく回ってくれれば」と期待を込める。
騎乗するのは、こちらも初GI制覇がかかっている
北村友一騎手。
斉藤崇史厩舎&
北村友一騎手といえば、GI制覇まであと一歩に迫った
クロノジェネシス(
阪神JF2着)と同じ。2週前に同じ悔しさを味わったコンビで、“今度こそ”初のGIタイトルに手が届くか注目したい。
★地元の期待はデビュー3連勝のミューチャリー
強力なJRA勢を迎え撃つ地元の南関勢は5頭が出走するが、その中でも一番の注目は、ここまで圧巻の走りを見せてデビュー3連勝しているミューチャリー(牡、船橋・矢野義幸厩舎)だろう。
8月に船橋1000mのデビュー戦を7馬身差で楽勝すると、続くサプライズパワー・メモリアルでは一気の距離延長(1600m)を苦にすることなく3馬身差をつけて快勝。初の川崎遠征、しかも重賞で一気に相手が強化された前走の鎌倉記念(SII)も6馬身差で圧勝してみせファンを驚かせた。
全日本2歳優駿のトライアルである鎌倉記念でミューチャリーが楽々マークした1分33秒6の勝ちタイムは歴代最速。しかも、まだまだ底を見せていないどころか100%の力を出していないようにも見えるだけに、JRA勢をも一蹴する可能性を感じさせる一頭だ。
★今度はスッキリ勝ちたい!ウィンターフェル&イグナシオドーロ
北海道2歳優駿(交流GIII)で誤審により2着と判定されたイグナシオドーロ(牡、北海道・角川秀樹厩舎)、1着判定も実際は2着だったウィンターフェル(牡、北海道・林和弘厩舎)のホッカイドウ競馬所属2頭が、気持ちを切り替えて初のGIタイトルを狙っている。
安定した先行力を武器に結果を残してきたイグナシオドーロは、マイペースで行かせてもらえるかがカギとなりそう。門別競馬場を飛び出して他場で走るのは今回が初となるだけに、長距離輸送や左回りへの対応も気になるところ。
一方のウィンターフェルも、JRAの札幌競馬に参戦した経験はあるものの、南関への遠征は初めて。イグナシオドーロと同じような懸念材料はあるが、南関東を知り尽くす森泰斗騎手とのコンビ結成は力強い。すでに追い切りにも騎乗して感触を確かめており、準備万端だ。