
充実したメンバー構成になった第83回
日本ダービーを、騎手として歴史的な活躍をした
岡部幸雄氏(67)が分析した。
皐月賞で最も強さを感じさせた馬として(16)番枠からハイペースで先行しながら5着に粘った
リオンディーズを挙げ、(12)番枠の今回はスムーズなレースができそうだと指摘。また、人気薄の馬は大胆な戦法が取れることを強調し、岩田騎手の
ロードクエストが内を突く可能性にも触れた。
今年のダービーはハイレベルの混戦ムードで、各騎手のペース判断、コース取りなどが勝敗を大きく左右しそうだ。
その点で最も注目しているのが
リオンディーズのM・デムーロ騎手。2番人気の
皐月賞ではハイペースのなか、2番手から早めに先頭に立つ強気なレースをした結果、5着(4位降着)だった。
当時は強風が吹き荒れてペース判断が難しかったうえ、外枠(16)番で前に壁をつくれず馬が気負ってしまった。そのため早めに行かせてしまったようだが、大崩れしなかったのは評価でき、一番強さを感じさせた。
今回の枠順は(12)番。この枠なら他の馬の後ろにつけてスムーズに走らせることが可能だ。ここ一番に強いジョッキーで、馬も脚質に自在性があり、流れに応じたレースができるはず。今回は馬をコントロールしやすくするために舌を縛るそうで、この効果も見込める。
中団を進んだ
皐月賞で3着に敗れた
サトノダイヤモンドも、負けてなお強しの内容だった。1番人気になっていたぶん、早めに動かざるを得なかったが、負けたことでルメール騎手は得たものがあったはず。早くからダービーが最大目標というムードがあったので、前走より条件はいい。(8)番枠も申し分ない。
皐月賞は後方にいた8番人気
ディーマジェスティ、3番人気
マカヒキのワンツーだった。ともに強い馬だが、展開が向いたのも確か。当時よりも人気になるダービーでは、蛯名、川田両騎手がどう乗るかということも焦点になる。
枠順はそれぞれ(1)番、(3)番。好枠ではあっても、これまでのように追い込み策を取るのであれば、3~4コーナーから直線にかけてのコース取りが非常に大事になる。今春の東京の芝コースは例年以上の高速馬場。あまり外を通ると影響が大きくなるので、どこまで距離ロスを抑えるかがポイントといえる。
大レースでは人気という要素も無視できない。人気馬だと大胆な戦法を取りにくい一方、人気薄だとそれが可能。その意味で興味深いのが
ロードクエストだ。
前走の
NHKマイルCは後方から大外を回って2着。2番人気だったので、前が詰まるリスクがある内は突きにくかった。人気が下がった今回は思い切った策が取れる状況で、騎乗するのは内にこだわるタイプの岩田騎手。池添騎手の騎乗停止で急きょ騎乗が舞い込んできた経緯があり、無欲で臨める点もいい。
青葉賞を勝った
ヴァンキッシュラン、
京都新聞杯を勝った
スマートオーディンの上昇度も光る。今年のダービーは最もスムーズなレースをした馬が勝つだろう。 (JRA元騎手)
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