(1)競走成績
日本、フランスで2~5歳時に15戦5勝。2歳時に新馬-GIII東スポ杯2歳Sを連勝したが、
京成杯2着でつまずくと一頓挫あって臨んだ
皐月賞は8着、ダービーは不良馬場をよく追い込んだが4着にとどまった。秋にGII
セントライト記念を制して重賞2勝目をマークするも、そこから潜在的な気難しさが顕在化して
菊花賞12着、
中日新聞杯13着と惨敗。ここでひと息入れたると、休養明けのオープン特別で力の違いを見せて完勝。果敢に臨んだ
宝塚記念では
ブエナビスタ、
アーネストリーらを破る大金星を挙げた。8番人気での勝利だったが、戦前からこの勝利を予測したかのように、陣営は
凱旋門賞に登録済みであることを明かし渡仏。フォワ賞で2着に敗れ、低評価で臨んだ
凱旋門賞では、英ダービー馬ワークフォースとの壮絶な叩き合いを演じて2着に激走した。その後は順調さを欠き、不振のまま5歳いっぱいで引退している。
(2)血統
父
ステイゴールドは
ドリームジャーニー&
オルフェーヴル兄弟や
ゴールドシップ、
フェノーメノといったトップホースを送り出している。母系はあまり目立たないが、兄
マイネルクラッチが3勝、妹
ディアアレトゥーサは3勝を挙げGIII
福島記念2着など活躍した。4代母Sensibilityから広がる一族には
タイキブリザードや
パラダイスクリークといった一流馬が出ており、種牡馬として活躍したTheatricalもこの系統。また、母His Majestyの2×4というインブリードを持っており、このあたりが突然変異的な爆発力につながったのだろう。祖母の父がデインヒルなので、
フェノーメノ(
ステイゴールド×デインヒル)と近い配合ともいえる。
(3)適性診断
個性的な気質の持ち主が多い
ステイゴールド産駒というだけでなく、母方にもなかなか気難しそうな血が並ぶ。本質的には芝の中長距離が合うのは間違いないが、育て方によっては一気に短距離を突っ走るようなタイプも出そうだ。ダートはあまり得意ではなく、あくまでも芝が主戦場。成長力には太鼓判が押せる。コンスタントに活躍馬を出すタイプではなく、おそらくは数少ない活躍馬が超一流と呼ばれる域に達するのではないだろうか。
(4)初年度産駒
すでに馬名登録されている
ゴットロマーネ(栗東・
木原一良厩舎、牡)は、兄が
NHKマイルC3着など活躍した
ムラマサノヨートー。同様に、シンディの牡馬は兄が
ツクバコガネオーで、キョウエイフルハムの牡馬は兄が
シンゼンレンジャーといずれも現役オープン馬の弟で注目される。しかし、やはり話題の筆頭となるのは
バーニングマン(美浦・
二ノ宮敬宇厩舎、牡)だろう。半兄は交流GI・JBCスプリントを制した
タイセイレジェンドで、母の父が
メジロマックイーンという血統が目を引く。
ステイゴールドの“代用品”というわけでもないだろうが、初年度産駒は
メジロマックイーン牝馬との配合が最も多かった。黄金配合の後継ニックスとなりうるか、注目していきたい。なお、地方ではすでに船橋でノースフェスタが新馬戦を制している。