東京土曜メインは、2歳牝馬の重賞
アルテミスS(28日、GIII、芝1600メートル)。今年で6回目と歴史は浅いが、
アユサン(2012年2着、13年
桜花賞V)、
ココロノアイ(14年1着、
阪神JF3着)、
レッツゴードンキ(14年2着、
阪神JF2着、15年
桜花賞V)、
メジャーエンブレム(15年2着、
阪神JF1着)、
リスグラシュー(16年1着、
阪神JF2着、17年
桜花賞2着)と、過去にこのレースで上位に入った馬は、同距離の
阪神JF、
桜花賞で好走しており、大舞台を占う上で見逃せない一戦だ。
混戦模様ながら、主役候補と目されるのは
ウラヌスチャーム(美浦・
斎藤誠厩舎)。新潟でのデビュー戦は、スタートで立ち遅れて最後方からの競馬となったが、直線で大外から矢のような伸びを見せてハナ差ながら差し切った。上がり3ハロン32秒0は、2歳馬としては史上最速タイという驚異的な瞬発力。2着に退けた
カーボナードが直後に未勝利戦を勝ち上がり、続く
サウジアラビアRCで3着に好走しているように、対戦相手のレベルも上々だった。「初戦は正直、60~70%の感じで使った」と
斎藤誠調教師。2戦目で相当な上積みを期待できそうだ。
ラッキーライラック(栗東・
松永幹夫厩舎)は、父が新種牡馬の
オルフェーヴル。母も米GIアシュランドS(ダート1700メートル)の勝ち馬だ。近親にはマイルGI・2勝の
ミッキーアイルや、今年の
NHKマイルCを勝った
アエロリットがいる。デビュー戦は直線に向いたところで前が塞がったが、外に持ち出すと鋭い伸びで2着に1馬身半差、3着にさらに5馬身差をつけて完勝した。スケールの大きさは
ウラヌスチャームと双璧といっていい。
ウラヌスチャームの新馬戦にも騎乗していた
石橋脩騎手がこちらに乗るのも興味深いポイントだ。
母
ブルーミンバーがオープン2勝など計7勝を挙げている
トーセンブレス(美浦・
加藤征弘厩舎)も注目の一頭。中山のマイル戦を、4コーナー12番手から差し切って初陣を飾った。父
ディープインパクト×母の父
ファルブラヴという血統面から、直線の長い東京でさらに末脚を生かせそうだ。今回はクリストフ・ルメール騎手とコンビを組む。
叔父にGI・6勝の
ゴールドシップがいる
シスターフラッグ(栗東・
西村真幸厩舎)は、新馬戦Vから挑んだ
札幌2歳Sでも中団からしぶとく脚を伸ばして0秒3差の4着。前走で騎乗した
岩田康誠騎手が「軽い芝でも大丈夫」と話しており、速い上がりが出やすい東京の馬場にも対応できそうだ。初めてのマイル戦の流れに戸惑わなければ、V争いに加わるだろう。今回は
北村宏司騎手とのコンビで臨む。
函館2歳S3着で、前走りんどう賞2着の
アリア(栗東・
沖芳夫厩舎)も、今回が初のマイル戦。展開に注文がつかず、折り合い面の不安がない馬なので、200メートルの距離延長は問題なさそうだ。北海道からコンビを組み続ける
丸山元気騎手にとっても力が入るところだろう。
新種牡馬
ロードカナロア産駒の
グランドピルエット(美浦・
田村康仁厩舎)も侮れない。母
ザレマは09年の
京成杯AHの勝ち馬で、母の兄弟には
マルカシェンク、
ガリバルディといったマイル巧者が並ぶ。デビュー戦は4番手から抜け出し、センスの良さを見せた。牝馬らしからぬ力強い走りで、いかにも東京のマイル戦が向きそうだ。
ディープインパクト産駒の
ダノングレース(美浦・
国枝栄厩舎)は、母がイタリアオークス馬。札幌芝1500メートルの新馬戦ではゴール前の競り合いを制しており、勝負根性は非凡なものを持っている。厩舎は先週まで42勝を挙げ、関東リーディングのトップ。10年の3冠牝馬
アパパネなど実績を残してきた国枝厩舎と
蛯名正義騎手のコンビで一躍その名を上げるか。
他にも、7月の中京マイルの未勝利戦を2馬身半差で勝ち上がった
スカーレットカラー(栗東・
高橋亮厩舎)、
ディープインパクト産駒で母が仏GI・2着の実績がある
ラテュロス(栗東・
高野友和厩舎)なども能力が高く、上位進出が期待できそうだ。
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アルテミスSの特別登録馬(想定騎手入り)はこちら 調教タイムも掲載