今年の中央競馬も残り3週。今週は日曜に阪神競馬場で、2歳牝馬路線の総決算、第68回
阪神ジュベナイルフィリーズ(11日、GI、芝・外1600メートル)が行われる。フルゲート18頭のところ、5日現在の出走予定馬は19頭で、収得賞金400万円の1勝馬は抽選で7頭中6頭が出走可能。なお、新馬戦、
ファンタジーSを連勝した
ミスエルテ(栗東・
池江泰寿厩舎)は、次週の朝日杯フューチュリティSに向かう。
その
ミスエルテと同じフランケルの子が
ソウルスターリング(美浦・
藤沢和雄厩舎)だ。GI・10勝を含む14戦全勝で種牡馬入りした怪物の初年度産駒で、母はディアヌ賞(仏
オークス)などGI・6勝を挙げたスタセリタ(その父モンズン)という世界レベルの良血馬だ。デビュー戦は2着馬との一騎打ちを制し、3着には5馬身差をつけて快勝。続く2戦目のオープン・アイビーSはラスト1ハロンであっさりと抜け出し、1馬身3/4差の完勝と、いずれも芝1800メートル戦で牡馬を撃破している。札幌、東京と求められる適性が異なるコースで勝利したことと、一気に加速できるエンジンのかかりの速さから、初のマイル戦でも不安はないだろう。連勝を3に伸ばし、来春のクラシックの主役に名乗りを上げる。
牡馬を相手に3連勝中の
ジューヌエコール(栗東・
安田隆行厩舎)も、女王の座にふさわしい一頭だ。7月の中京新馬戦を3番手から抜け出して快勝すると、ききょうSでは後方2番手から差し切りV。初のマイル戦だった前走の
デイリー杯2歳Sでは、3番手から上がり3ハロン33秒6の瞬発力を見せ、2着馬をクビ差抑えた。デビュー戦が重、2戦目が稍重。道悪を苦にせず、前走のように切れ味勝負になっても勝った点は高く評価できる。2011年に19歳で英ダービーを制したフランス競馬界のホープ、ミカエル・バルザローナ騎手の手綱さばきにも期待がかかる。
ジューヌエコールと同じ夏の中京で新馬勝ちした
ヴゼットジョリー(栗東・
中内田充正厩舎)は、続く
新潟2歳Sも勝って2戦2勝。こちらも前述の2頭と同様、無敗での戴冠を目指す。自在に立ち回れる器用さとマイルを経験している点が強みだが、今回は3カ月半ぶりの実戦。順調に乗り込まれてはいるが、最終追い切りが特に注目される。管理する中内田調教師にとっては、初のGI制覇がかかる一戦だ。
アルテミスSを勝った
ハーツクライ産駒
リスグラシュー(栗東・
矢作芳人厩舎)も、上位の実力を持つ。2戦目の阪神芝1800メートル戦を1分46秒2の2歳コースレコードで駆け抜けて初勝利をマーク。続く
アルテミスSでは4コーナーで早々と前を射程圏に入れ、上がり3ハロン33秒5の末脚で抜け出した。今回の鞍上は、先週までに173勝を挙げている
戸崎圭太騎手。52勝の矢作調教師との“リーディングコンビ”で挑む点も興味深い。
小倉2歳Sを6馬身差で圧勝した
レーヌミノル(栗東・
本田優厩舎)もV争いに加わる。前走の
京王杯2歳Sでは牡馬
モンドキャンノの半馬身差の2着に敗れたが、初の関東圏への輸送、200メートルの距離延長だったことを考慮すれば、収穫があった一戦だった。距離はさらに200メートル延びるが、前走は最後までバテてはおらず、対応できそうだ。昨年の優勝馬
メジャーエンブレムと同じ
ダイワメジャー産駒で、無理なく好位につけられるスピードが武器。
浜中俊騎手が騎乗停止中のため、
蛯名正義騎手に乗り替わるが、09年の
アパパネ、14年の
ショウナンアデラとこのレース2勝のベテランジョッキーなら、不安はないだろう。フランス語で女王を意味する「レーヌ」の名にふさわしい走りを見せ、戴冠なるか。